私たちにとって道とは何だろう。高速自動車道から散歩道まで、どれ一つとっても、日々の暮らしに欠かせないものだ。古代から、人々は共有の財産として、力を合わせ、道を作り、道を守ってきた。道は「みんなの」暮らしを支え、産業を起こし、文化を運び、人々を結びつけた。
なのに、道は人々、地域から遠い存在になった。あなたは子供が道路でキャッチボールや縄跳びをし、老人が番台で将棋をさすあの風景を思い出しませんか。道路は便利だけれども、車のためのもの、子供や老人には危険な存在、大気汚染や騒音をまき散らすものなど。私たちは心地よい広場としての道─「公共」を失ってしまったのだろうか。
心にも忘れ物がある。「道普請」─みんなで心と力を合わせ、道を作り、守る。しかし、今、道づくりや管理は「行政の責任」ですませていませんか。自宅前、事業所の前の道が汚れ、雑草が茂っていても知らん顔。空き缶どころか、家庭ゴミまでポイ捨て。家の前の歩道に花壇、窓を花で飾る人々の住む国がなんと遠いことか。
心ある人々を中心に、私たちと道との関係をもう一度考え直してみようという気運が生まれ、花いっぱい運動などが育ち始めた。道路行政も量から質へ大きく転換しようとしている。そして、住民と行政の協働という「新しい関係」も芽生え始めてきた。
そうした気運と潮流を一つにまとめ、大きな流れを作り出そう。それが「道守九州会議(仮称)」設立の呼びかけになった。道守(みちもり)。万葉の昔から、そう呼ばれる、道を守る人がいた。旅人のおなかと喉を潤す果樹を沿道に植えた行政の心があった、という。住民と行政がそれぞれの役割を果たしながら、協働して道路を守り育てていく。21世紀の道守。そんな「道と人の新しい縁(えにし)」を作り出す道を拓き、一歩踏み出そう。
「道守九州会議(仮称)」設立準備打ち合わせ会議 参加者一同
平成15年10月9日